コウモリの冬眠|家のアブラコウモリはいつ眠り、いつ起きるか。冬に追い出さない理由と、春に向けた準備 | 害虫害獣駆除ナビ本記事にはプロモーションが含まれます。
コウモリの冬眠|家のアブラコウモリはいつ眠り、いつ起きるか。冬に追い出さない理由と、春に向けた準備
公開 コウモリ
この記事の作成方針
複数の駆除事業者が公表している料金表と、環境省・自治体の公開情報をもとに作成しています。掲載している費用は目安であり、実際の金額は建物の構造・地域・被害状況により変動します。
| 12〜2月を冬眠期として調査から除いている。冬眠からさめて最初に巣から出てきた時期は、1994年は3月、1995年は4月で、年によって違った |
| 哺乳類科学51巻2号(2011) | 関東(多摩川周辺の記録) | アブラコウモリの活動時期は2月中旬から12月初旬で、気温が15℃を下回ると飛ばなくなり、冬眠を始めることが知られている(先行研究の引用) |
| 東京都ペストコントロール協会 | ― | 11月頃には冬眠する |
まとめると、秋の終わり(10月下旬〜12月初め)に冬眠に入り、春(2月中旬〜4月)に目を覚ます、というのがおおよその流れです。西日本と関東、その年の寒さによって、ひと月ほどの幅があると考えてください。
日付より「気温」で見る
時期に幅があるのは、冬眠が日付ではなく気温で決まるからです。
- 横浜国立大学の研究発表(教育デザイン研究 第7号、2016年)では、アブラコウモリの冬眠を始める時期は気温と密接に関係していて、活動を始める時刻の気温が15度を下回ると冬眠に入る個体が出はじめ、9.7度を下回るとすべての個体が冬眠に入ったと報告されています
- 森井(2001)は、冬眠明けや冬眠前の時期に巣から出る個体が少ないのは、外の気温が大きく影響しているためと考えています
家のまわりで判断するなら、夕方の気温が15℃を下回る日が続くようになったら、冬眠に向かう時期と見ておくと分かりやすいでしょう。
冬眠中でも、暖かい日には飛ぶことがある
冬眠中のアブラコウモリは、ずっと眠り続けているとは限りません。森井(2001)は、冬眠期間中でも暖かい日には飛ぶ個体が見られることがあるとしています。哺乳類科学の報告でも、気温が12℃ほどと低い日でも、まれに巣から出ることがあるという研究が引用されています。
冬の暖かい夕方に、コウモリが1匹だけ飛んでいるのを見かけることがあるのは、このためです。冬に姿を見かけたからといって、冬眠しない場所に住み着いているとは限りません。
冬眠の前後に、コウモリに起きていること
アブラコウモリの1年を、冬眠を中心に見ると次のようになります。
冬眠前:秋は「食いだめ」の時期
森井(2007)によると、9月下旬には冬眠に備えた脂肪の蓄積が始まり、体重が増えていきます。10月の個体は9月より重く、解剖すると、9月には見られなかった皮下脂肪が見られたと報告されています。
秋のコウモリは、冬を越すためにたくさんの虫を食べている時期です。夕方の出入りが続いているなら、まだ冬眠前で、追い出しが効きやすい時期にあたります。
冬眠中:蓄えた脂肪で冬を越す
冬眠中のコウモリは、秋に蓄えた脂肪を少しずつ使って冬を越します。森井(2007)は、3月に冬眠からさめたアブラコウモリは、冬眠中に体重の約20〜27%(別の研究では約32%)を減らしているという研究を紹介しています。
同じ報告は、11月になっても巣から出てくる個体について、餌の虫が少なく気温も低い時期に活動すると、脂肪を蓄えるよりも使うほうが多くなるのではないかとも考察しています。冬のコウモリにとって、蓄えた脂肪は限られた大事な燃料だということです。
冬眠中に追い出さない・塞がない理由
自治体の案内は、冬眠の時期の追い出しや封鎖を避けるよう勧めています。理由は4つあります。
1. 動きが鈍く、追い出しが効かない
北九州市は、冬眠の時期と夏の出産の時期は追い出しが難しいので、それ以外の時期に対策するほうが効果的だとしています。冬眠中のコウモリは、煙や忌避剤、光で住み心地を悪くしても、すぐには飛び出していきません。
2. 塞ぐと、中に閉じ込める
冬に糞や物音がなくなると、「もういない」と思って出入り口を塞ぎたくなります。でも、コウモリは家の隙間で眠っているだけかもしれません。
浜松市は、侵入口を塞ぐときは、まだ飛べない子どものいる6〜8月と、冬眠の前後の時期を避けて行うよう案内しています。そのうえで、家の中にコウモリが取り残されないよう注意を促しています。中で死んでしまうと、死骸が臭いや害虫の原因になるからです。
3. 起こすと、冬を越すための燃料を使わせてしまう
前の章で見たとおり、冬眠中のコウモリは限られた脂肪で冬を越しています。冬眠中に煙や物音で何度も起こすことは、コウモリに余計な燃料を使わせることになります。追い出しの効果が薄いうえに、コウモリの冬越しの負担を増やすことになります。
4. 手でつかみ出すのは、法律で禁止
冬眠中のコウモリは動きが鈍いので、「今なら手で取り出せるのでは」と考える人もいます。しかし、コウモリは鳥獣保護管理法で守られた野生動物で、許可なく捕まえることはできません。違反すると1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です(同法第83条)。眠っているコウモリをつかんで外に出すことも、許可のない捕獲にあたるおそれがあります。
また、茨城県つくばみらい市は、野生のコウモリには寄生虫や、感染症の原因となる菌やウイルスが付いているおそれがあるとして、素手で触らないよう案内しています。
追い出しと封鎖は「いつ」やるか
冬眠の時期と、出産・子育ての時期を除くと、追い出しに向くのは春と秋です。ただ、浜松市が「冬眠の前後」も避けるよう案内しているように、冬眠に入りかけの時期や、目を覚ましたばかりの時期も、出入りする個体が少なく、全部が出ていったかを確かめにくくなります。
月で区切るより、コウモリが毎晩そろって出入りしているかで判断してください。閉じ込めを防ぐには、そのほうが間違いが少なくなります。
春の目覚めは年によってずれます。森井(2001)の観察でも、冬眠明けの最初の出巣は1994年は3月、1995年は4月でした。カレンダーで決めず、夕方の出入りを数日続けて見て確かめることが、閉じ込めを防ぐいちばんの方法です。
業者に頼む場合も、施工できる時期の制約は同じです。時期が限られることが費用や予約にどう影響するかは、コウモリ駆除の費用相場で説明しています。
冬の間にしておくこと
冬眠中は追い出しも封鎖もできませんが、何もしなくてよいわけではありません。春に動き出すための準備期間と考えてください。
1. 出入り口の場所を記録しておく
秋のうちに出入り口を見ていた人は、その場所を写真とメモで残しておきます。冬に気づいた人は、昼間に次の場所を見て回ります。
- 外壁や窓の下、ベランダに、秋までに落ちた古い糞が残っていないか
- 軒天(軒の裏側の板)、雨戸の戸袋、換気口、屋根と外壁の取り合いに、黒い汚れや隙間がないか
糞の真上が出入り口の候補です。糞の見分け方と、糞の位置から出入り口を探す手順は、次の記事にまとめています。
2. 落ちている糞を片付ける
冬眠中は新しい糞がほとんど増えないので、片付けるにはよい時期です。使い捨ての手袋とマスクをつけ、霧吹きで湿らせてから拭き取り、袋を二重にして捨てます。ほうきで掃いたり、掃除機で吸ったりして粉を舞い上げないでください。
片付けておくと、春に新しい糞が落ちはじめたとき、コウモリが目を覚ましたことにすぐ気づけます。
3. 春の作業の段取りをつける
- 自分で追い出すなら、煙タイプの駆除剤、忌避剤、塞ぐためのネットやパテなどの材料を、春までに用意しておく
- 出入り口が高い場所にあるなら、業者に春の作業の見積もりを冬のうちに頼んでおく
- 賃貸住宅なら、管理会社や大家に、出入り口の場所と写真を伝えておく
春の追い出しと封鎖の手順は、次の記事で説明しています。
4. しないこと
冬にコウモリを見かけたら
暖かい夕方に飛んでいる
冬眠中でも、暖かい日に飛ぶ個体がいます。そのままにしておいて大丈夫です。どの隙間から出てきたかが分かれば、出入り口の記録に加えてください。
部屋の中に入ってきた、床やベランダに落ちている
素手で触らないでください。部屋に入ってきたときは、人やペットは別の部屋に移り、その部屋の窓を開けて、出ていくのを待ちます。床やベランダに落ちて動かないときは、子どもやペットを近づけず、お住まいの市区町村の担当窓口に相談してください。
天井裏や壁の中の物音がコウモリなのか、ほかの動物なのか分からないときは、屋根裏の音の正体で音の特徴から見分ける方法を説明しています。
春の作業を業者に任せる場合
次のどれかに当てはまるなら、春の追い出しと封鎖は業者に任せることを考えてください。
- 出入り口が2階の軒先や屋根の近くなど、高い場所にある
- 出入り口が見つからない、または何か所もある
- 天井裏に糞がたまっていて、清掃も必要
- 去年塞いだのに、別の隙間から戻ってきた
- 春に毎晩の出入りが戻ったかどうかを、自分で見極める自信がない
業者を比べるときは、施工の時期をどう判断しているか、塞いだ後に戻ってきたときの保証があるかを確かめてください。冬のうちに見積もりを取っておけば、春の作業に間に合わせやすくなります。
スタッフが現地を調査したうえで、駆除から侵入口の封鎖まで対応するサービスがあります。再発を防ぐ施工を重視していて、費用は現地調査の後の見積もりで確認できます。対応エリアは関東・関西・東海・中国・四国の一部です。
相談するときは、秋までに見た出入り口の場所、糞が落ちていた場所の写真を伝えると、春の作業の段取りを決めやすくなります。
よくある質問
Q.11月に入って、コウモリの糞が落ちなくなりました。いなくなったのでしょうか。
冬眠に入っただけかもしれません。香川県の観察では、アブラコウモリは10月下旬ころから冬眠に入り、11月には大部分が冬眠しています。この時期に出入り口を塞ぐと、中で眠っているコウモリを閉じ込めるおそれがあります。場所を記録しておき、春に毎晩の出入りが戻ってから追い出しと封鎖をしてください。
Q.冬眠中なら、手で取り出してしまえば早いのでは。
いけません。コウモリは鳥獣保護管理法で守られていて、許可なく捕まえることはできません。眠っているコウモリをつかんで外に出すことも、許可のない捕獲にあたるおそれがあります。また、野生のコウモリは素手で触らないよう自治体も案内しています。
Q.冬眠中に煙タイプの駆除剤を使ってもいいですか。
おすすめしません。北九州市は、冬眠の時期は追い出しが難しいとしています。冬眠中のコウモリは動きが鈍く、煙を使っても出ていきにくいうえ、起こされることで冬を越すための脂肪を余計に使います。煙や忌避剤は、春か秋の、毎晩出入りしている時期に使ってください。
Q.暖かい地域では、コウモリは冬眠しないのですか。
冬眠に入る時期と明ける時期は、気温で前後します。研究報告では、気温が15℃を下回ると飛ばなくなり冬眠を始めるとされています。暖かい地域や暖冬の年は、冬眠に入るのが遅く、明けるのが早くなると考えられます。冬でも夕方に毎晩出入りしているなら、冬眠していない可能性があるので、業者や自治体の窓口に相談してください。
Q.春はいつから追い出していいですか。
日付ではなく、夕方にコウモリが毎晩そろって飛び出すようになったかで判断してください。冬眠明けの時期は年によって違い、香川県の観察では3月の年も4月の年もありました。出産・子育ての時期(6〜8月ごろ)に入る前に終えるのが目安です。
まとめ
まとめ
- 家に住み着くアブラコウモリは、秋の終わり(10月下旬〜12月初め)に冬眠に入り、春(2月中旬〜4月)に目を覚ます。地域と年で前後する
- 冬眠は日付より気温で決まる。夕方の気温が15℃を下回る日が続くと、冬眠に向かう
- 秋は冬眠に備えて脂肪を蓄える時期。冬眠中は体重の2〜3割を減らして冬を越す
- 冬眠中は追い出しが効かず、塞ぐと閉じ込める。手で取り出すのは法律で禁止
- 追い出しと封鎖は、毎晩の出入りが見られる春と秋に。冬眠の前後と出産期は避ける
- 冬の間は、出入り口の記録、糞の片付け、春の作業の段取りを進める
コウモリ
コウモリ駆除の費用相場|施工できる時期が年2回しかない理由