ムカデ対策、猫や犬がいる家ではどうする?|殺虫剤・粉剤・毒餌・ハッカ油の注意点と、薬剤に頼らない防ぎ方 | 害虫害獣駆除ナビ本記事にはプロモーションが含まれます。
ムカデ対策、猫や犬がいる家ではどうする?|殺虫剤・粉剤・毒餌・ハッカ油の注意点と、薬剤に頼らない防ぎ方
公開 ムカデ
夜、猫が部屋の隅で何かを前足でつついている。のぞき込むと、ムカデだった。犬が庭で鼻先を地面に近づけているのを見て、粉剤を撒いた場所ではないかと不安になる。ペットがいる家のムカデ対策は、「ムカデから守ること」と「薬剤からペットを守ること」を同時に考える必要があります。
この記事では、ペットがいる家で「何を選び、何を避けるか」に絞って整理します。根拠にしたのは、殺虫剤の添付文書やメーカーの公式情報、自治体と海外の公的機関の情報です。ムカデ対策の全体像(侵入経路の見つけ方、薬剤の種類ごとの役割)は、ムカデ退治の方法で説明しています。
ペットがムカデに咬まれる危険
ムカデは、自分から人や動物を襲う虫ではありません。川崎市の資料によると、気づかずに触れたり刺激したりすると、防御のために瞬時に咬みつきます。咬まれると、しびれを伴う激痛があり、患部が赤く腫れあがります。
この「触れたり刺激したりすると咬む」という性質が、ペットのいる家では問題になります。
人なら「痛い」と伝えられますが、ペットは伝えられません。前足をしきりになめる、片足を浮かせて歩く、顔や口のまわりが腫れている、急に鳴く、隠れて出てこない、といった様子の変化で気づくことになります。
出典:川崎市「ムカデ」(PDF)(2026年10月時点)
咬まれたかもしれないときは、動物病院に連絡する
ペットが咬まれた、または咬まれたかもしれないときは、かかりつけの動物病院に電話で相談してください。夜間なら、夜間診療をしている動物病院です。
この記事の作成方針
複数の駆除事業者が公表している料金表と、環境省・自治体の公開情報をもとに作成しています。掲載している費用は目安であり、実際の金額は建物の構造・地域・被害状況により変動します。
人向けの咬まれたときの対処は自治体などが案内していますが、それは人の話です。体の大きさも、薬の効き方も、ペットと人では違います。自己判断で人用の塗り薬や飲み薬を使わず、動物病院の指示を受けてください。
電話のときに伝えると話が早いことを、まとめておきます。
ムカデを処理できた場合は、写真を撮っておくと説明に使えます。また、ムカデを退治しようとして殺虫剤を使った直後なら、その缶や箱も手元に置いておきます。咬まれたのか、薬剤に触れたのかで、動物病院の判断が変わるかもしれないからです。
薬剤ごとの注意点(製品の表示とメーカーの情報から)
ここからが、ペットがいる家でいちばん迷うところです。結論から言うと、ペットがいる家で使えない、と一律に決まっている薬剤の種類はありません。そのかわり、製品ごとに「ペットをどう扱うか」が表示に書かれています。表示を読み、そのとおりに使うことが前提です。
冷却で動きを止めるスプレー
殺虫成分を使わず、噴射した場所を冷やして虫の動きを止めるスプレーがあります。あるメーカーは、殺虫剤を使っていないので子どもやペットのいる家庭にも勧められる、と説明しています。室内で見つけた1匹を処理するときは、ペットがいる家では第一の候補になります。
ただし、同じメーカーのQ&Aは、噴射液が十分にかかっていないと虫が蘇生することがあるとしています。動かなくなったムカデを床に置いたままにすると、猫がつついたときに動き出すかもしれません。トングなどでつまんで、すぐに袋に入れて処分してください。冷却するスプレーなので、ペットや人に向けて噴射しないことも製品の注意として確認してください。
殺虫スプレーと「ピレスロイドは猫に危険」という話
家庭用の殺虫剤には、ピレスロイド系の成分(ペルメトリンなど)が多く使われています。ムカデ用の家庭用スプレーにも、ペルメトリンを有効成分とするものがあります。「ピレスロイドは猫に危険」という話を見かけて、不安になる人も多いと思います。
公的機関の情報を確認すると、話はもう少し細かく分かれます。
- 英国の動物用医薬品の規制当局(VMD)は、高濃度(例として50%を超える)のペルメトリンは猫にとって非常に危険だとしています。問題として挙げているのは、犬用のノミ・ダニ駆除の滴下剤(スポットオン)です。犬用の製品を猫に使ってはいけない、少量でも重い症状が出て死ぬこともある、と注意しています。
- 同じ資料は、ノミ駆除用の家庭用の殺虫剤(くん煙剤、粉剤、スプレー)についても、ペットの体に使ってはいけないこと、ペットを守るための注意書きに従うことを求めています。
- 国内のメーカーのQ&Aでは、ピレスロイド系の家庭用殺虫剤について、犬・猫・小鳥のいる部屋で使える一方、魚や昆虫には影響があるので、観賞魚や昆虫のいる部屋では使わないよう案内している例があります。
- 殺虫スプレーをペットに直接かけない。ムカデがペットの近くにいるときは、ペットを先に別の部屋へ移す
- 犬用のノミ・ダニの薬を猫に使わない。犬と猫を一緒に飼っている家では、薬を付けたばかりの犬に猫が近づいたり、なめたりしないようにする(英国VMDの注意)
- 観賞魚、カメ、カブトムシなどがいる部屋では、殺虫スプレーを使わない
殺虫スプレーを使った後は、床に残った薬剤をペットがなめたり、足の裏に付けて毛づくろいでなめたりしないよう、表示にしたがって拭き取りや換気をしてください。
薬剤をなめた、浴びたかもしれないとき
英国VMDは、猫に犬用のペルメトリン製品を付けてしまったときは、すぐに動物病院で治療を受けること、製品の包装をすべて持っていくことを案内しています。殺虫剤をなめた、浴びたかもしれないときも、使った製品の容器や箱を持って、動物病院に相談してください。
屋外用の粉剤・粒剤
建物のまわりに帯状に撒く粉剤は、ムカデの侵入を防ぐ定番の方法です。堺市も、家のまわりを囲むように粉状か粒状の薬剤を5〜10センチメートル幅の帯状に撒く方法を紹介しています。
ペットがいる家で気をつけたいのは、撒いた場所をペットが歩き、足の裏に付いた粉を毛づくろいでなめることです。メーカーの表示は次のようになっています。
犬を庭に出す家、猫が庭や外を歩く家では、次のように使い方を考えます。
- 犬が通る、寝そべる場所には撒かない。犬走りや、犬が庭に出る勝手口の前などは、撒く範囲から外すか、柵で区切る
- 撒く日は、ペットを庭に出さない
- ペットの水飲み、食器、おもちゃを屋外に置かない
- 池や水槽の近くには撒かない
撒く範囲から外した場所は、後で説明する「薬剤に頼らない対策」で補います。
くん煙剤
部屋全体に煙を行き渡らせるくん煙剤は、ペットがいる家では手間がかかります。くん煙剤の添付文書(一般用医薬品)の例では、観賞魚、犬、猫や小鳥などのペット類は部屋の外へ出すこと、大型の観賞水槽などがある所では使わないこと、ペットの飼料に煙がかからないようにすることが書かれています。2〜3時間閉め切った後、十分に換気してから部屋に入る、という使い方です。
もう一つ確認したいのは、その製品の効能にムカデが入っているかです。たとえばこの添付文書の効能は、ゴキブリ、イエダニ、ノミ、トコジラミ、屋内塵性ダニ類、ハエ成虫、蚊成虫の駆除で、ムカデは書かれていません。ペットを避難させる手間をかけるなら、箱の「効能」や「適用害虫」にムカデがあるかを先に見てください。ムカデは家具の裏や床下の隙間に潜むため、煙が届かずに残ることもあります。
毒餌剤
ムカデ用の毒餌剤には、容器に入ったタイプがあります。容器に入っていても、ペットがかじったり、転がして遊んだり、くわえて運んだりできる場所には置かないことが基本です。置く前に、製品の使用上の注意で、子どもやペットについての記載を確認してください。
ペットのいる家で置き場所を考えるときは、次の順で検討します。
- 屋外の、ペットが入らない場所(柵の外、物置の裏など)
- 屋内なら、ペットが入らない部屋や、ペットが入れない家具の裏
- どちらもできないなら、毒餌剤は使わずに、封鎖と環境整備を優先する
毒餌剤を誤って食べたかもしれないときは、製品の箱を持って動物病院に相談してください。
ハッカ油などの精油
「ムカデ対策にハッカ油スプレー」という方法がよく紹介されます。しかし、猫のいる家では注意が必要です。
米国の動物虐待防止協会(ASPCA)の動物中毒相談部門は、ミント(ハッカの仲間)を犬・猫に有毒とし、毒性のもとは精油だとしています。また、濃縮された精油はペットにとって危険になりうること、精油の上を歩いたり、毛に付いたり、直接付けられたりした犬や猫に健康上の問題が出ることがあることを説明しています。
ハッカ油を床や窓辺、玄関に撒くと、猫がその上を歩き、足や毛に付いたものを毛づくろいでなめることになります。猫のいる家では、ハッカ油を床や猫の寝床、猫が通る場所に撒かないほうが安全です。犬についても、ミントは有毒とされているので、同じように考えてください。
薬剤に頼らない対策
ペットがいる家では、薬剤を使える場所と量に制約がかかります。そのぶん、ムカデを家に入れない、家のまわりに住まわせない対策の比重が大きくなります。川崎市の資料も、発生を予防するには、家のまわりの雑草を刈り取る、落ち葉を捨てる、廃材など不要な物を処理するといった清掃をして、日当たりをよくすることを挙げています。
侵入経路を塞ぐ
ムカデは、わずかな隙間から入ってきます。ペットのいる家で特に見ておきたい場所は次のとおりです。
ペットが網戸を引っかいて破るのは、よくあることです。秋のうちに網戸を一度点検しておくと、ムカデだけでなくカメムシなどの侵入も減らせます。網戸とサッシの隙間の塞ぎ方は、カメムシが家の中に入ってくる秋の対策でも説明しています。
家のまわりとペットの場所を整える
ムカデは湿った狭い暗い場所を好み、草むら、落ち葉の下、石垣の隙間、庭石やブロックの下に潜みます(堺市)。ペットのいる家では、ペットの用品がこうした場所になっていないかを見てください。
- 犬小屋やペット用品の下:地面に直置きした犬小屋、ケージ、トイレの下は湿って暗くなりやすい。すのこやブロックで浮かせ、下を掃除できるようにする
- 庭に出しっぱなしの物:使っていないケージ、植木鉢、ペットのおもちゃ、古いマットを片付ける
- ペットの寝床:床に直接置いたベッドやクッションは、ときどき持ち上げて下を確かめる。窓際や掃き出し窓の近くは避ける
- ペットフード:食べ残しやこぼれたフードは片付ける。ムカデは昆虫やゴキブリを食べるため、エサになる虫を寄せないことが、ムカデを寄せないことにつながる
エサになるゴキブリを減らすことも、ムカデ対策になります。秋冬のうちにできるゴキブリの対策は、ゴキブリの冬対策にまとめています。
粘着式の捕獲器は「ペットの届かない場所」に置く
殺虫成分を使わない粘着式の捕獲器(粘着トラップ)は、ペットのいる家でも使いやすい方法です。ただし、ペットが踏んだり、鼻先や毛がくっついたりするおそれがあります。置き方を工夫してください。
それでもペットがくっついてしまったときは、無理に引きはがさず、製品の説明書を確認するか、動物病院に相談してください。
ムカデがよく出る時期
- 川崎市の資料は、ムカデは春〜秋に発生し、5〜8月ごろが産卵期で活動が活発になるとしています
- 堺市は、冬を除くすべてのシーズンで発生が見られるとしています
- 夜行性で、昼間は屋外の草むらや落ち葉の下などに潜み、エサを求めて屋内にも入ってきます(川崎市)
ペットのいる家での時期ごとの動き方は、次のように考えると整理しやすくなります。
業者に頼むときに伝えること
室内で何度も見る、庭が広くて自分では撒く範囲を決められない、という場合は業者に相談することになります。ペットのいる家では、見積もりの段階で次のことを伝えてください。
- 飼っている動物(犬、猫、小鳥、観賞魚、爬虫類、昆虫など)と、ふだんいる場所
- ペットが出入りする庭の範囲、犬走り、ペットドアの位置
- 屋内の薬剤処理を避けたい、屋外も一部は撒いてほしくない、といった希望
- 使う薬剤の名前、施工後に部屋や庭にペットを戻してよいまでの時間を、書面で説明してほしいこと
ムカデ対策の全体(今いる1匹の処理、侵入経路の絞り込み、薬剤の種類ごとの役割)は、次の記事にまとめています。
よくある質問
Q.ペットがいる家では、殺虫剤は使えませんか。
一律に使えないわけではありません。ペットをどう扱うかは、製品ごとに表示に書かれています。殺虫スプレーはペットに直接かけない、屋外の粉剤は散布した場所にペットを近寄らせない、くん煙剤は犬・猫・小鳥・観賞魚を部屋の外へ出す、というように、表示どおりに使うことが前提です。観賞魚や昆虫のいる部屋では、殺虫スプレーを使わないよう案内しているメーカーもあります。
Q.「ピレスロイドは猫に危険」と聞きました。ムカデ用のスプレーも使わないほうがいいですか。
英国の動物用医薬品の規制当局が猫に非常に危険だとしているのは、犬用のノミ・ダニ駆除の滴下剤のような、高濃度のペルメトリン製品です。犬用の製品を猫に使ってはいけません。家庭用の殺虫スプレーについては、ペットに直接かけない、床に残った薬剤をなめさせないなど、製品の表示どおりに使ってください。不安なら、殺虫成分を使わない冷却タイプのスプレーを選ぶ方法もあります。
Q.ハッカ油でムカデ対策をしてもいいですか。
猫のいる家では、床や寝床、猫が通る場所に撒かないほうが安全です。米国の動物中毒相談機関は、ミントを犬・猫に有毒とし、濃縮された精油の上を歩いたり、毛に付いたりした犬や猫に健康上の問題が出ることがあると説明しています。
Q.ペットがムカデに咬まれたら、家で何をすればいいですか。
かかりつけの動物病院に電話で相談し、指示を受けてください。人向けの対処法をそのままペットに当てはめたり、人用の薬を自己判断で使ったりしないでください。電話では、咬まれた時刻と場所、今の様子、ペットの種類と体重、直前に殺虫剤を使ったかどうかを伝えると話が早くなります。
Q.ムカデはいつごろまで出ますか。
川崎市の資料は春〜秋に発生するとし、堺市は冬を除くすべてのシーズンで発生が見られるとしています。秋のうちに網戸の破れや家のまわりの落ち葉を片付けておくと、翌シーズンの備えになります。
まとめ
まとめ
ペットがいる家のムカデ対策は、ムカデからペットを守ることと、薬剤からペットを守ることを両方考えるのが出発点です。
- ペットが咬まれた、咬まれたかもしれないときは、動物病院に電話で相談する。人用の薬を自己判断で使わない
- 室内の1匹には、殺虫成分を使わない冷却タイプのスプレーが選びやすい。止まったムカデはすぐに処分する
- 殺虫スプレーはペットに直接かけない。観賞魚や昆虫のいる部屋では使わない。犬用のノミ・ダニの薬を猫に使わない
- 屋外の粉剤は、ペットが通る場所を外し、撒いた日はペットを出さない。くん煙剤はペットを部屋の外へ出し、効能にムカデがあるかを確かめる
- 毒餌剤はペットが触れない場所にだけ置く。ハッカ油は猫が歩く場所に撒かない
- 薬剤に頼らない対策(隙間の封鎖、家のまわりとペット用品の下の整理、粘着式の捕獲器をペットの届かない場所に置く)の比重を大きくする
ムカデは春〜秋に出ます。活動が落ち着く秋のうちに、網戸と家のまわりを点検しておくと、翌シーズンの備えになります。