カメムシの大量発生はなぜ?いつまで?|2026年の注意報・警報、スギ・ヒノキの実で決まる増え方と、冬の過ごし方 | 害虫害獣駆除ナビ本記事にはプロモーションが含まれます。
カメムシの大量発生はなぜ?いつまで?|2026年の注意報・警報、スギ・ヒノキの実で決まる増え方と、冬の過ごし方
公開 カメムシ
「今年はカメムシがやたら多い」と感じているなら、その感覚は数字でも裏付けられています。農林水産省のまとめでは、2026年に果物を加害するカメムシ(果樹カメムシ類)について、10月6日までに31府県が注意報を出し、静岡県は警報を出しました。静岡県の調査地点では、9月上中旬に捕れた数が平年の約20倍でした。
ただ、注意報や警報は農作物を守るための情報で、家に入ってくるカメムシの数をそのまま表すものではありません。この記事では、病害虫防除所と農研機構の研究者の資料をもとに、次の順で整理します。
- 2026年はどれくらい多いのか(注意報・警報の状況)
- カメムシが大量発生する仕組み
- 注意報のカメムシと、家に来るカメムシの関係
- いつまで続くのか、来年はどうか
- 冬に家の中で出てくるカメムシの扱い
家に入れないための網戸・サッシ・換気口の対策と、臭いを出させずに処分する手順は、カメムシが家の中に入ってくる秋の対策にまとめています。この記事では、その手前の「なぜ多いのか」「いつまで続くのか」を扱います。
2026年はどれくらい多いのか
31府県が注意報、静岡県は警報
都道府県の病害虫防除所は、農作物の病気や害虫が多くなりそうなときに「発生予察情報」を出します。被害が大きくなりそうなときが注意報、さらに重大なときが警報です。
農林水産省がまとめた一覧(10月6日現在)で果樹カメムシ類を数えると、2026年は次のとおりです。
この記事の作成方針
複数の駆除事業者が公表している料金表と、環境省・自治体の公開情報をもとに作成しています。掲載している費用は目安であり、実際の金額は建物の構造・地域・被害状況により変動します。
| 三重県、兵庫県、大阪府、京都府、千葉県、栃木県、群馬県など |
| 10月 | 1(ほかに警報1) | 愛知県(注意報)、静岡県(警報) |
合わせて31府県から注意報48報、警報1報です。1つの県が春と夏に2回、3回と出している例も多くあります。春(5月前後)の注意報は冬を越した成虫、夏以降の注意報はその年に生まれた成虫を主な対象にしたものです(理由は次の章で説明します)。
注意報の対象には、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシの3種が挙がっています。一覧の中で東北・北海道からの果樹カメムシ類の注意報はありませんでした。東北・北海道でも、稲を加害する「斑点米カメムシ類」の注意報は出ていますが、これは別の種類のカメムシです。
静岡県の警報:平年の約20倍
静岡県病害虫防除所は10月1日、果樹カメムシ類の警報を県内全域に出しました。根拠として挙げている数字は次のとおりです。
予察灯の数は、カメムシが異常に多かった2024年を上回る水準だとしています。8月26日の注意報の時点で、ヒノキの実の量(着果量の指数)は県平均7.9(平年4.5)と、過去10年で2番目に多い年でした。
ほかの県でも、群馬県は9月7日の注意報で、フェロモントラップの誘殺数が平年と比べられる6地点のうち5地点で平年の約2〜12倍だったとしています。山口県は、2月に調べたクサギカメムシの越冬量が1トラップあたり88.9頭(平年30.2頭)と、平年の約3倍だったと3月に発表しています。
カメムシが大量発生する仕組み
果樹カメムシ類は、年によって数が大きく変わる虫です。農研機構 果樹研究所の外山晶敏氏の解説(植物防疫 第68巻第7号、2014年)は、もっとも研究が進んでいるチャバネアオカメムシについて、増え方を次のように説明しています。
1年の暮らし方
数を決めるのは「越冬した数」と「スギ・ヒノキの実の量」
外山氏の解説と大阪府の技術資料から、増え方の仕組みを整理すると次のようになります。
- 春は、冬を越した数で決まる。春から初夏に果樹園へ飛んでくる数は成虫の密度に左右され、越冬量が多い年ほど多くなりやすい
- 夏以降は、スギ・ヒノキの実の量で決まる。山での発生量を決めるもっとも重要な要因は餌の量、つまりヒノキ・スギの実の量で、「基本的に餌があるだけ増える」。越冬した親が多く、気温が高いと増える速さも上がる
- 実を食べ尽くすと、山から出てくる。実は新しく補われないので、やがて餌が足りなくなり、成虫は山林を離れて果樹園などへ飛んでいく
- 実が豊作の年は、翌年に響く。豊作の年はその年に山を離れる時期は遅れやすい一方、越冬する数が増え、翌年前半に飛んでくる数が増える
- 実の量は、前の年の夏の天気で決まる。6〜8月に晴れて暑い日が多い夏の翌年は、実が豊作になりやすい。豊作の翌年は実が減るという隔年の傾向もある
スギ・ヒノキの実の量は、春の花粉の飛散量と強く関係していて、花粉の量は実の量のよい目安として、カメムシの動きの予測に使われています。花粉が多い年は、夏以降にカメムシが増えやすい条件がそろいやすい、ということです。
2026年の静岡県の例は、この仕組みどおりの流れです。ヒノキの実が多く(着果量が過去10年で2番目)、そこで増えたカメムシが実を吸い尽くし、9月上旬から果樹園への飛来が始まりました。静岡県は、ヒノキの実に残る吸汁の跡が1つの実あたり20に近づくと、カメムシがヒノキを離れて飛んでくるとしていて、9月上中旬の時点で調査地点の6割がこれを超えていました。
台風などの強い風雨の後にも、一時的に飛来が増えることがあるとされています。
注意報のカメムシと、家に来るカメムシは同じか
ここが、ニュースを見て「今年は家にもたくさん来るのか」と考えるときに注意したいところです。注意報の対象になる3種は、暮らし方がそれぞれ違います。
家に入り込んで冬を越すのは、主にクサギカメムシです。外山氏の別の解説(植物防疫 第65巻第9号、2011年)も、クサギカメムシを「越冬虫が家屋へ侵入するなど衛生害虫としての側面も持つ」としています。東京都の資料も、クサギカメムシは自然の豊かな地域に多く、山間地では晩秋に洗濯物に集まったり、越冬のため人家に飛来したりすると説明しています。
つまり、注意報の多さ=家に来る数の多さ、とは限りません。たとえば静岡県の8月の注意報では、県内4か所の予察灯で8月1〜20日に捕れた数の平均のうち、クサギカメムシは115頭(平年113頭)で、平年並みでした。増えていたのは、チャバネアオカメムシ(968頭、平年300頭)とツヤアオカメムシ(538頭、平年92.2頭)です。
一方で、山口県のように、隙間トラップでクサギカメムシの越冬量を調べ、平年の約3倍だったという県もあります。注意報の多い年は「カメムシ全体が多い年」の目安にはなりますが、家に来る数は、住んでいる地域と種類によって違うと考えてください。
都市部の住宅地では、マルカメムシ(体長約5mm、丸くて光沢のある黄褐色)が、クズなどマメ科の植物で大量に増えて、家や洗濯物に集まることもあります(東京都)。
地域による違い
自分の住んでいる地域で多くなりやすいかは、次の点で見当をつけられます。
2026年は、注意報が出たのが関東から九州までの31府県で、東北・北海道からの果樹カメムシ類の注意報はありませんでした。ただし、クサギカメムシは寒い地域でも冬を越せる種で、札幌市も秋の家屋への侵入を注意しています。注意報が出ていない地域でも、山すその家などでは毎年のように入ってくることがあります。なお、北海道で秋に空を漂う白い綿のような小さな虫は、カメムシではなくアブラムシの仲間の雪虫です。正体と扱い方は雪虫とは?で説明しています。
自分の県の情報は、「(県名) 病害虫防除所 発生予察」で検索すると、注意報や、予察灯・トラップで捕れた数のグラフが見られます。
いつまで続くのか
秋:家に来るのは10〜11月
家への飛来は、冬を越す場所を探す動きです。川崎市は、10〜11月ごろに越冬のため日当たりのよい壁面をめがけて飛来し、屋内に侵入するとしています。札幌市の案内では、屋内への侵入は10月中旬ごろからです。
クサギカメムシの家屋への飛来を富山県で調べた研究(渡辺ら、1994)では、9月下旬ごろから飛来が始まり、11月初旬にピーク、同月下旬に終わりに向かいました(外山、2011の紹介による)。
地域によって数週間のずれがあります。「いつまで」の答えは、家に入ってくるのは11月ごろまで、すでに入り込んだものは春まで残る、です。
来年の春は
来年のことは、まだ分かりません。ただ、仕組みから言える傾向はあります。大阪府の技術資料は、前の年の8月以降に発生が多かった年は越冬量が多く、翌年春の被害が増える傾向があるとしています。外山氏の解説も、ヒノキ・スギの実が豊作だった年は、越冬する数が増えて翌年前半の飛来が増えることにつながるとしています。
2026年は、ヒノキの実が多く、夏以降の発生も多い年でした。2027年の春も、越冬明けのカメムシが多くなる可能性があります。来年の見通しは、各県が冬から春にかけて行う越冬量調査(2026年は群馬県が3月3日、山口県が3月17日に発表)で分かります。
冬のカメムシ:家の中で出てきたら
なぜ冬に出てくるのか
秋に家の隙間へ潜り込んだカメムシは、雨戸の戸袋、サッシのレールの奥、カーテンレールの上、エアコンの裏、屋根裏などで冬を越します。外山氏の解説(2011年)によると、クサギカメムシは狭くて暗い場所に潜り込み、仲間と固まって動かなくなる性質があります。一方で、温度が上がると動きが活発になり、下がると落ち着くことも実験で分かっています。
暖房の効いた部屋の近くで冬を越しているカメムシや、日差しの強い日の窓辺にいるカメムシが、真冬にふらっと出てくるのはこのためと考えられます。冬は外から新しく飛んでくる時期ではないので、秋に入り込んでいたものが出てきたと考えられます。
冬に見つけたときの扱い
冬のカメムシは動きが鈍く、取りやすい時期です。扱い方は秋と同じで、つぶさず、素手で触らずに処分します。
- ガムテープを背中に上からそっと当てて貼り付け、包んで捨てる
- 少数なら、紙に乗せて外へ出してもよい
- 掃除機で吸わない。臭いが本体に残るおそれがある
- 同じ場所で何匹も出てくるなら、その近くの隙間(カーテンボックス、エアコンの裏、戸袋など)に集団でいる可能性がある
冬のうちにしておくこと
- 出てきた場所を記録する:どの部屋の、どの窓やカーテンのまわりで見つけたかをメモする。そこが秋に入り込んだ場所の手がかりになる
- 春に窓辺へ集まったら外へ出す:越冬から覚めたカメムシは外へ出ようとして窓辺に集まる。窓を開けて紙で外へ誘導すればよい
- 次の秋の前に、記録した場所の隙間をふさぐ:カメムシの体は平たく、ごく狭い隙間からも入り込むので、その近くのサッシ・網戸・換気口を見直す
ベランダの物のすき間や室外機の裏で冬を越していることもあります。ベランダで潜り込みやすい場所の点検表は、ベランダのカメムシ対策にまとめています。
大量発生の年に、家でできること
カメムシは屋外の広い範囲で増える虫で、川崎市の案内も、屋外での駆除は困難だとしています。東京都の資料も、クサギカメムシは発生源を特定できず、遠くからも飛んでくるので、発生源対策は困難で、家屋への侵入防止が主な対策になるとしています。
家の近くで殺虫剤をまいても、山で増えたカメムシの数は変わりません。大量発生の年にできるのは、次の3つです。
よくある質問
Q.2026年はなぜカメムシが大量発生しているのですか。
果樹カメムシ類は、冬を越した数と、夏に餌になるスギ・ヒノキの実の量で数が決まります。2026年は、静岡県でヒノキの実の量が過去10年で2番目に多く、そこで増えたカメムシが実を吸い尽くして山から出てきました。農林水産省の一覧では、10月6日までに31府県が注意報を出し、静岡県は警報を出しています。
Q.カメムシの大量発生はいつまで続きますか。
家に飛んでくるのは、川崎市や札幌市の案内のとおり10〜11月が中心で、11月下旬には落ち着いていきます。ただ、秋に家の隙間へ入り込んだものは、そのまま冬を越して、暖かい日や春先に出てきます。外へ出ていくのは春です。
Q.ニュースで注意報が出ていると、家にもたくさん来ますか。
目安にはなりますが、同じとは限りません。注意報は果樹を加害するチャバネアオカメムシなどが中心で、家に入って冬を越すのは主にクサギカメムシです。静岡県の8月の調査では、増えていたのはチャバネアオカメムシとツヤアオカメムシで、クサギカメムシは平年並みでした。
Q.冬なのに部屋にカメムシが出てきました。外から入ってきたのですか。
多くは、秋に家の隙間へ入り込んで冬を越していたものです。カメムシは温度が上がると動きが活発になるので、暖房の効いた部屋や日差しの強い窓辺で出てくることがあります。つぶさずにガムテープや紙で取り、出てきた場所を記録しておくと、次の秋にふさぐべき隙間の手がかりになります。
Q.来年もカメムシは多いですか。
まだ分かりませんが、大阪府の資料は、前の年の8月以降に多かった年は越冬量が多く、翌年春の被害が増える傾向があるとしています。来年の見通しは、各県が冬から春に行う越冬量調査で分かります。
まとめ
まとめ
- 2026年は、31府県が果樹カメムシ類の注意報(48報)を出し、静岡県は警報を出した(農林水産省の一覧、10月6日現在)。静岡県では9月上中旬の誘殺数が平年の約20倍
- 大量発生の仕組みは、春は冬を越した数、夏以降はスギ・ヒノキの実の量で決まる。実が豊作の年は増え、実を食べ尽くすと山から出てくる。豊作の年は翌年の越冬量も増えやすい
- 家に入って冬を越すのは主にクサギカメムシで、注意報の中心のチャバネアオカメムシとは暮らし方が違う。注意報の多さは目安だが、家に来る数は地域と種類で変わる
- 家に来るのは10〜11月が中心。入り込んだものは春まで残り、暖かい日に室内で出てくる
- 冬に出てきたら、つぶさず、素手で触らずに処分し、出てきた場所を記録して次の秋の前に隙間をふさぐ
カメムシ
カメムシが家の中に入ってくる秋の対策|洗濯物・網戸・サッシから入れない方法と、臭いを出させずに処分する手順