シロアリ駆除に補助金は使えるのか|自治体の制度と雑損控除で自己負担を下げる手順 | 害虫害獣駆除ナビ本記事にはプロモーションが含まれます。
シロアリ駆除に補助金は使えるのか|自治体の制度と雑損控除で自己負担を下げる手順
公開 料金・費用

シロアリの見積書を受け取ってから「補助金は使えないのか」と検索する人は多いと思います。ところが調べ始めると、自治体の制度は名前も条件もばらばらで、そもそもシロアリ駆除を単独で補助している市区町村はそう多くありません。一方で、国の税制には、シロアリ被害を「災害」として扱う仕組みがはっきり存在します。
この記事は、駆除そのものの単価を細かく比較する記事ではありません(作業単価の見方は害虫駆除料金の仕組みを分解するで扱っています)。ここでは、駆除にかかった金額を出発点に、公的な制度を通したあと自己負担がいくらになるかを、適用条件から逆算して整理します。金額はいずれも出典を明記し、確認したのは2026年4月時点です。
料金の全体像と、制度に乗る部分・乗らない部分
まず、制度の話に入る前に、見積書に並ぶ項目を整理します。ここで重要なのは金額そのものより、どの項目が「駆除」で、どの項目が「予防」や「オプション」なのかという区分です。後述するとおり、税制で扱えるのは原則として駆除と修繕の部分だけで、予防は対象外とされています。見積書の書き方がそのまま自己負担額に効いてきます。
㎡単価の数値は、シロアリ駆除業者アリプロが主要各社の料金を集計した記事によるもので、同記事では坪あたり7,105円と換算されています。戸建て一棟の目安はトップマイスターのコラムによるものです。いずれも一社の価格表ではなく複数社を集計した数値ですが、床下の広さと被害の範囲で上下するため、自宅の金額は見積もりを取るまで確定しません。
領収書の但し書きが後で効きます
支払い時の領収書に「シロアリ駆除工事」と書かれているか確認してください。「工事代金として」とだけ書かれていると、駆除なのか予防なのかが書面から読み取れず、税務署や自治体の窓口で追加の説明を求められることがあります。施工前に「駆除分と予防分を分けて記載してほしい」と伝えておくのが確実です。
面積で決まる作業と、数量で決まる作業
見積書の比較が難しいのは、課金の考え方が違う作業が同じ紙に並んでいるからです。面積課金と数量課金に分けると、どこが比較できてどこが比較できないかがはっきりします。
面積で決まる作業(㎡単価)
この記事の作成方針
複数の駆除事業者が公表している料金表と、環境省・自治体の公開情報をもとに作成しています。掲載している費用は目安であり、実際の金額は建物の構造・地域・被害状況により変動します。
| 木部処理(土台・大引への吹付け) | 床下面積の㎡ごと | (要見積もり。土壌処理と合算されることが多い) | 土壌処理の単価に含まれるのか別立てか |
| 予防施工 | 建物ごと(内訳は㎡単価) | 95,400円〜190,800円 | 駆除と同時に行う場合、金額が分けて書かれているか |
| 防湿シート・調湿材の敷設 | 敷設面積の㎡ごと | (要見積もり) | 駆除工事と切り離して判断できる形になっているか |
箇所・数量で決まる作業
「シロアリ駆除工事一式」としか書かれていない見積書は、他社と比べられないだけでなく、制度を使うときにも不利になります。自治体の助成は対象工事が限定されていることが多く、税制でも駆除と予防の切り分けが必要です。内訳のない見積書は、価格交渉の材料にも申請書類にもなりません。
「シロアリ駆除補助金」の正体|使える公的制度のルート
検索キーワードとしての「補助金」に対して、実際に自己負担を下げる可能性があるルートは大きく分けて次のとおりです。それぞれ性質がまったく違うので、順に条件を見ていきます。
自治体の助成・補助(あるかどうかは地域差が大きい)
シロアリ駆除そのものを名指しで補助する制度は限られますが、関連する枠組みで対象になる場合があります。窓口で確認する価値があるのは次のような制度です。
- 住宅リフォーム助成:地元業者に発注する住宅改修を広く対象にする制度。床下の工事が対象工事に含まれるかどうかが分かれ目です
- 耐震改修の補助:シロアリ被害で土台や柱が傷んでいる場合、耐震改修の一部として木部の補修が対象になることがあります。多くは耐震診断が前提です
- 高齢者・障害者向けの住宅改修助成、空き家の活用・改修支援:対象者や物件の要件が細かく決まっています
確認先は市区町村の建築住宅課や住宅政策担当です。問い合わせるときは「シロアリ駆除は対象ですか」ではなく、「床下の木部補修や土台の交換が対象工事に入るか」「駆除工事の費用は対象経費に含められるか」と、工事内容で聞くほうが答えが返ってきます。
契約前に確認しないと使えなくなります
多くの助成制度は、着工前の申請と交付決定を前提にしています。工事が終わってから申請しても対象外になる、という運用は珍しくありません。業者に急かされて先に契約せず、申請の要否と順番を窓口で確かめてから日程を決めてください。
確定申告の雑損控除(全国どこでも条件は同じ)
自治体の制度と違い、全国共通で条件が決まっているのがこちらです。国税庁の質疑応答事例では、シロアリによる被害は所得税法施行令第9条に規定する「害虫……その他の生物による異常な災害」に該当し、修繕に要した費用と駆除のための費用は雑損控除の対象になる、と示されています。同じ事例の中で、被害を事前に防ぐための予防費用は対象にならないことも明記されています。
つまり「補助金を探す」よりも、駆除費用を災害による損失として申告するほうが、条件がはっきりしていて再現性があります。会社員でも年末調整では処理できないため、駆除をした翌年に自分で確定申告をする必要があります。
火災保険・共済(原則は期待しない)
火災保険は、風災・水災など突発的な事故を補償するのが基本で、シロアリのように時間をかけて進む被害は補償の対象外とされているのが一般的です。ただし、雨漏りや水漏れが先にあってその結果として木部が傷んだ場合は、雨漏りの修理部分が別の判断になることもあります。加入している保険の約款と、被害の原因を業者の報告書でどう記録してもらうかが分かれ目です。
制度を使ったあとの自己負担を試算する手順
ここからが本題です。雑損控除は「使った費用が戻ってくる制度」ではなく、所得から差し引く制度です。差し引ける金額の計算式は国税庁のタックスアンサー「災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」に示されていて、次のどちらか多いほうを使います。
- 計算式A:(損害金額+災害等関連支出の金額−保険金等の額)−(総所得金額等)×10%
- 計算式B:(災害関連支出の金額−保険金等の額)−5万円
シロアリの場合、業者に払った駆除費用と、被害を受けた木部の修繕費が「災害関連支出」にあたります。試算の手順は次のようになります。
第一に、見積書と領収書から駆除分だけを抜き出します。 予防施工や床下換気扇などのオプションは外します。ここで内訳のない「一式」の請求書しかないと、抜き出す作業自体ができません。
第二に、上の二つの式に当てはめて、控除額を出します。 所得が高い人ほど計算式Aの差し引き額(総所得金額等の10%)が大きくなるため、多くの給与所得者では計算式B、つまり駆除・修繕にかかった金額から5万円を引いた額が控除額になります。駆除費用が5万円を下回るなら、この式では控除額が出ません。
第三に、控除額に自分の税率をかけた金額が、実際に軽くなる所得税です。 控除額がそのまま返ってくるわけではありません。加えて、翌年度の住民税の計算にも同じ控除が反映されるため、負担の軽減は所得税だけにとどまりません。
第四に、自治体の助成を受けた場合は、その分を差し引きます。 助成金や保険金で補てんされた金額は、上の式の「保険金等の額」として損失から引く必要があります。助成と控除の二重取りにはなりません。
その年の所得から引き切れないほど損失が大きかった場合は、繰り越しができます。岡山市の解説によれば、控除しきれなかった分は翌年以降、最大3年間まで繰り越せます(各年ごとに確定申告が必要です)。
また、国税庁のタックスアンサーには、その年の所得金額の合計額が1,000万円以下の人が災害にあった場合、災害減免法による所得税の軽減免除があり、雑損控除とどちらか有利なほうを選べる、とも記されています。被害が大きく建物の損害額が相当な割合に達している場合は、税務署でどちらが有利か相談する価値があります。
税額の計算は所得や家族構成で変わるため、最終的な自己負担額は税務署や税理士に確認してください。ここで押さえるべきは、駆除の見積書の書き方が、そのまま申告できる金額を決めるという一点です。
費用が変わる要因
金額の幅が大きいのは、次の要因が重なるからです。影響の大きい順に並べます。
被害が木部にまで及んでいるか
薬剤の散布だけで終わるのか、食害を受けた土台や束の交換まで必要かで、金額の桁が変わります。大工工事が入ると、駆除業者の見積書とは別に補修の見積書が出ることもあります。制度の面でも、この補修費は雑損控除でいう修繕費に含められる部分なので、工事の内容を書面に残しておく意味があります。
施工する床下面積
㎡単価の作業は、面積がそのまま金額になります。ここで注意したいのは、対象になるのは延床面積ではなく床下の面積だという点です。見積書の面積の根拠が図面なのか実測なのかを確認すると、社ごとの金額差の理由が見えてきます。
工法の選択
床下に薬剤を処理するバリア工法と、建物の周囲に設置した容器で群れ全体に効かせるベイト工法では、費用の発生の仕方が違います。前者は施工時にまとまった費用がかかり、後者は設置後も定期的な管理費が続きます。数年単位の総額で比べないと、安く見えた側が高くなることがあります。
床下の作業性
床下の高さが低い、点検口がない、基礎の区画が細かく分かれている、配管が邪魔をしている——こうした条件は作業時間を延ばし、加算の理由になります。点検口の新設が必要な場合は、その費用が見積書に入っているかを確認してください。
保証の内容と再施工の条件
保証を厚くした分が単価に乗っている場合があります。保証が長いほど良いとは限らず、次の節で述べるとおり、保証の「種類」を見ないと金額の比較になりません。
費用を抑える方法
相見積もりを複数の業者から取る
同じ床下でも、面積の拾い方と単価の考え方が社ごとに違うため、複数社の見積書を並べて初めて自分の家の適正な範囲が見えます。比較するときは総額ではなく、㎡単価・対象面積・含まれる作業の三点をそろえて見てください。調査と見積もりを無料で行う業者なら、比較のための費用負担なしに検討を始められます。床下の状態を写真で見せてもらえるかどうかも、同時に確かめたい点です。まずは自宅の床下を見てもらって金額の輪郭をつかみたいときは、PR業界最安級-シロアリ徹底駆除880円(税込)/平米から【株式会社キャッツ】
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駆除と予防を分けて見積書に書いてもらう
前述のとおり、予防費用は雑損控除の対象外です。両方をまとめて契約すると、申告できる金額が曖昧になります。「駆除工事」と「予防施工」を別行にしてもらうだけで、申告時の手間と差し戻しのリスクが減ります。
自治体の制度は契約前に確認する
申請のタイミングを逃すと制度そのものが使えなくなります。工事の内容が固まった見積書を持って、着工前に窓口で相談してください。対象になる場合、必要書類(見積書の内訳、被害状況の写真、施工前後の記録)を業者に依頼する必要もあります。
群飛の時期を外して相談する
羽アリが飛ぶ時期は問い合わせが集中し、日程が取りにくくなります。急を要する被害がある場合は別ですが、点検や予防の相談は繁忙期を外すほうが日程に余裕があり、じっくり比較できます。
保証期間中の再発時の扱いを確認しておく
再発したときに無償で再施工されるのか、点検だけなのかで、数年単位の支出が変わります。契約前に保証書の文面を見せてもらってください。
業者を比較する軸
金額が近い見積書が並んだときは、次の軸で判断します。
保証は年数より種類を見る。 シロアリの保証には、再発時にもう一度施工する「再施工保証」と、被害が出た建物の損害を補償する「損害賠償保証」があり、両方が付くものと片方だけのものがあります。年数が長くても、再発時の対応が点検だけなら意味が変わります。トップマイスターのコラムでは、日本しろあり対策協会の認定薬剤を使い、5年保証を提供する業者を選ぶことが目安として挙げられています。
書面が残るか。 調査報告書、施工前後の写真、使用薬剤の名称と希釈倍率、保証書。これらは業者を評価する材料であると同時に、雑損控除や自治体の助成を申請するときの添付資料にもなります。書面を出さない業者は、制度を使う前提では選びにくくなります。
自社で施工するか、下請けに出すか。 仲介が入ると、保証の窓口や再発時の責任の所在が分かりにくくなります。契約先と施工者が同じかどうかを確認してください。
追加費用の条件が先に説明されるか。 床下に入ってから被害が想定より広いと分かることは珍しくありません。そのときの単価と連絡の手順を、契約前に文書で決めておけるかが分かれ目です。
自分で対処した場合、制度の面でどうなるか
市販の薬剤で床下に潜って処理する方法もありますが、制度を前提にすると不利な点があります。まず、被害の範囲と原因を第三者が記録した書類が残りません。雑損控除の申告でも自治体の助成でも、求められるのは「被害があったこと」と「それに対して何をいくら支払ったか」を示す書面です。材料の購入レシートだけでは、住宅のどこにどんな被害があったのかを説明しにくくなります。
加えて、床下は姿勢を保ちにくく、薬剤を扱う環境としても換気が限られます。土台の内部で進む食害は表面からは見えないため、素人判断で処理を終えると、被害が進んでから発覚して結果的に高くつくことがあります。費用を抑える目的であっても、調査だけは専門業者に任せて、範囲を確定させてから方針を決めるほうが安全です。
よくある質問
Q.シロアリ駆除の補助金は、どの自治体にもありますか
いいえ。シロアリ駆除を名指しで補助する制度は限られています。住宅リフォーム助成や耐震改修補助の対象工事に床下の補修が含まれるかどうかは自治体ごとに異なるため、市区町村の建築住宅課に工事内容で問い合わせてください。制度が見つからない場合でも、確定申告の雑損控除は全国共通で条件が決まっています。
Q.予防のための施工も雑損控除の対象になりますか
なりません。国税庁の質疑応答事例では、シロアリ被害の修繕費と駆除費用は雑損控除の対象としつつ、被害を事前に防ぐための費用と、駆除と一緒に行う予防のための費用は対象にならないとされています。だからこそ、見積書と領収書で駆除分と予防分を分けておく必要があります。
Q.会社員ですが、年末調整で処理できますか
できません。雑損控除は年末調整では扱えないため、駆除を行った年の翌年に確定申告をします。源泉徴収票、駆除工事の領収書、被害の状況が分かる調査報告書や写真をそろえておくと手続きが進めやすくなります。
Q.控除しきれないほど被害が大きい場合はどうなりますか
その年の所得から引き切れなかった分は、翌年以降に繰り越せます。岡山市の解説によれば最大3年間まで繰り越せますが、繰り越す各年についても確定申告が必要です。
Q.火災保険でシロアリ被害は補償されますか
一般には対象外とされています。火災保険は突発的な事故を補償する設計で、時間をかけて進む食害や経年の劣化は想定されていないためです。ただし雨漏りなど別の事故が起点になっている場合は判断が変わることもあるので、約款を確認し、被害の原因を業者の報告書に記録してもらってください。
まとめ
まとめ
「シロアリ駆除補助金」を探して見つからなかったとしても、自己負担を下げる手段がないわけではありません。自治体の助成は地域差が大きく、契約前の申請が前提になるため、工事内容を固めた見積書を持って窓口に相談するのが最短です。全国共通で条件が決まっているのは確定申告の雑損控除で、駆除と修繕の費用は対象、予防は対象外という線引きがはっきりしています。
したがって、判断の決め手は制度そのものより見積書と書類の作り方です。駆除と予防が分かれて書かれているか、被害の状況が写真付きの報告書で残るか、領収書の但し書きが施工内容を示しているか。この三点がそろっていれば、助成の申請も申告も通しやすくなり、通らなかった場合でも業者比較の材料としてそのまま使えます。逆に「一式」だけの見積書は、比較にも申請にも使えません。
次の一歩は、自宅の床下に実際に何が起きているかを確定させることです。被害の範囲が分からないままでは、制度を使うかどうかも、いくら負担することになるかも決まりません。下のバナーから、無料の現地調査と見積もりを申し込めます。調査後は書面での報告と、施工後の定期点検の有無もあわせて確認してください。
床下の状況が分かったうえで、ほかの害虫の費用感と比べたい場合は、次の記事も参考になります。
ネズミ駆除の費用相場|作業別の単価と、1〜2ヶ月かかる理由